最終更新日:2023.02.01
本記事では、企業のインスタグラムマーケティングのやり方について解説します。インスタグラムが消費者の情報収集や商品購入のプラットフォームとして使われるようになった今。マーケティング活動でインスタグラムを活用することは大きなメリットを得られることにつながります。インスタグラムで自社商材(商品、サービス)の認知拡大、販売促進を実現したい方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
目次
インスタグラムマーケティングは、インスタグラムを活用して企業のブランディングや商品の認知・販売、集客などを成功させる施策のことです。
もともとインスタグラムは、写真を通じて不特定多数の人たちとコミュニケーションを楽しむSNSでした。しかし現在では、ユーザー行動が多様化し、単純にコミュニケーションが行なわれるだけではなくなりました。
たとえば、ある商品の写真を見て、その商品に興味を持ち、最終的に購入に至ったり、実際に興味を持ったお店に足を運んだりするような行動が見られるようになりました。このようなユーザーの行動に注目が集まり、最近では多くの企業がマーケティング活動でインスタグラムを取り入れています。
企業がインスタグラムをマーケティングで活用するメリットは大きくわけて4つあります。
ひとつずつ説明します。
インスタグラムのユーザー数は年々増加し、2021年12月には3400万人となっています。ユーザー数は今後も伸びていくことが予想されています。それはつまり、より多くの人たちに自社の商材を認知してもらえるチャンスが増えることを意味します。
インスタグラムには検索機能が備えられています。この検索機能を利用するユーザーは、検索の段階で興味関心のあるジャンルを絞っています。そのため、投稿に設定するハッシュタグの内容次第では、自社の商材を効率よく宣伝することができます。
現在、インスタグラムには投稿からECサイトに移動できる「ショッピング機能」、プロフィールから各種予約サイトに移動できる「アクションボタン」が導入されています。この2つの機能は、商品購入と集客を促してくれる魅力的な機能です。それぞれどのような機能なのか、簡単に説明します。
ショッピング機能は2018年6月にリリースされました。それまでインスタグラムでは、フィード投稿などから直接、ECサイトなどに移動することができませんでした。プロフィールにURLを載せておくことで、目的のウェブサイトにユーザーを誘導することはできましたが、
という理由から商品の販売機会を失っていた可能性がありました。
しかしショッピング機能が導入されたことで、ユーザーはインスタグラムからスムーズにコーポレートサイトやECサイトに移動できるようになりました。ショッピング機能では、投稿された商品にタグが表示されるため、ユーザーはそのタグを押すだけで簡単に商品購入までたどり着けるようになったのです。
これによりユーザー側からしたら、一度インスタグラムから離れて再度、商品を探す手間を省けるというメリットがあります。一方、企業側からしたら購入意欲の高いまま商品販売ページにアクセスしてくれるので、より商品購入の確率が高くなるというメリットを得られます。
小売店など商品をユーザーに販売するサービスを提供している企業にとっては、商品を拡販しやすい、または商品拡販のチャンスを手にすることができます。
関連記事:インスタグラム「ショッピング機能」の設定方法から承認されないときの対処法まで
アクションボタンはインスタグラムで飲食店や美容室、スパ、ライブチケットなどの予約ができる機能です。ビジネスプロフィールでのみ設定することができます。アクションボタンを設定したアカウントには、プロフィールトップにこのようなボタンが表示されます。
2022年3月時点で日本で使用できるアクションボタンの種類は「料理を注文」「予約する」「席を予約する」です。これらのボタンを設定するには、移動先となる予約サービスへの登録が必須ですが、特に「予約する」「席を予約する」については、実店舗集客で重要な機能となります。
・提携している各種予約サービス(一部抜粋)
【料理を注文】
EPARK テイクアウト
menu
Retty
TableCheck
Ubar Eats
Wolt
ヒトサラ
出前館
【予約する】
EPARK ビューティー
SuperSaaS
Squire
Zenoti
かんざし
【席を予約する】
Gurunavi
TableCheck
ヒトサラ
ほかにも多数の予約サービスと連携しています。登録している予約サービスがある場合は、アクションボタンを設定することをおすすめします。
一般的にインスタグラムはコスメやアパレル、食品など、ビジュアルで表現しやすい商材と相性が良いです。しかし現在では、ビジュアルで表現しにくい商材でも、情報発信のやり方次第では効果的な訴求を行なうことができます。
たとえば、
であれば、投資に関する学習コンテンツ(お役立ち情報)という形式で情報を発信することで、投資に興味があるユーザーから関心を寄せてもらえます。その情報が価値のあるものであれば、フォローしてもらえる可能性も上がります。さらに定期的な情報発信によってフォロワーのモチベーションを上げることで、セミナー集客につなげやすくなります。
以上のメリットから自社商材の宣伝、購買、集客を実現するうえでインスタグラムは有効に働いてくれます。特にショッピング機能とアクションボタンは、購買や集客の可能性を飛躍的に伸ばせることができるものです。インスタグラムをマーケティングで取り入れる際は、積極的に活用したい機能と言えます。
一方で、マーケティングでインスタグラムを活用することには以下のようなデメリットもあります。
インスタグラムは画像と動画を共有できるプラットフォームです。ウェブサイトのようにテキストベースではなく、画像や動画ベースのコンテンツを制作する必要があります。画像コンテンツ、動画コンテンツの制作が不慣れな企業にとってはリソース(人員やノウハウなど)を確保するための労力、時間の負担が大きくなります。
年々、インスタグラム運用に参入する企業は増えています。ビジネスアカウントの数も増加傾向にあるため、商材によっては競合が多く、宣伝効果が低くなる可能性があります。特にゼロからのスタートの場合、すでに競合との差が大きくなっているケースは多いです。そうしたときはコンテンツ制作に力を入れ、競合との差別化を図る必要があります。
インスタグラムマーケティングのやり方は、通常のマーケティング施策のやり方と変わりません。競合調査から始まり、訴求する層、具体的な訴求方法、リソースの整理・配分、施策の優先順位などを決めていきます。そのうえでアカウント構築を進め、認知拡大や集客促進を導く施策に取り組んでいきます。これらを踏まえてインスタグラムマーケティングでやるべきことを大まかにまとめると…
1.目的の設定
2.競合の調査
3.ターゲット、ペルソナの選定
4.投稿テーマの選定
5.KPIの設定
6.アカウント構築、育成
7.アカウントの認知拡大
8.フォロワーとの交流
9.商材の紹介
10.誘導
となります。
※番号通りに進めることで効率よくアカウント運用を進められます。ただし1~5については実際に運用を開始する前に決めることができていればOKです。
まずはマーケティング活動においてインスタグラムがどういう役割を担うのか明確にします。商品やサービスの認知拡大なのか、ユーザーとの関係性構築なのか、商品購入の場なのか、というようにインスタグラムを活用する目的を決めていきましょう。最初にゴールをはっきりさせておくことで、たとえば、どのようなアカウントを競合にすべきかなど、このあとのステップを進めやすくなります。
自社と同じ商材を提供している企業がどのような運用をしているかチェックします。必ず確認しておきたいのは以下の5つです
調査する競合についてですが、可能であればフォロワーが多いなど、成果が出ていそうなアカウントを調査しましょう。そうすることで目的を達成するまでの成功パターンを知ることができます。また時間に余裕があるのなら、あまり効果が出ていなさそうなアカウントもチェックしましょう。失敗パターンを把握することで、失敗するリスクを抑えることができます。
続いて商品やサービスを訴求したいターゲットを選定します。自社の商材をどんなユーザーに認知して欲しいのか、どんなユーザーなら自社の商材の購入または来店につながるのか、しっかり検討しましょう。このときは、
・化粧品が好きな30代の女性
というように漠然とした内容で大丈夫です。ターゲットの選定はマーケティングでは欠かせない手順のひとつです。これを怠ると、見当違いのユーザーに自社の商材をアピールすることになり、思ったような成果を出すことが難しくなります。
ターゲットを決めたら、次はペルソナを考えていきます。ペルソナとは、架空の人物像のことです。ターゲットより明確にその人物像を洗い出していくところに特徴があります。
▼ターゲットの場合
化粧品が好きな30代の女性
▼ペルソナの場合
性別:女性
年齢:34歳
職業:医療機器メーカーの事務職
住所と職場:渋谷の道玄坂
趣味:SNSなどで化粧品に関する情報収集
悩み:生活習慣が不規則になりがちで、肌の調子が悪い
欲望:高級化粧品を使いたい
ペルソナを決めることで、商品やサービスを利用するユーザー像を明確にでき、効果的な訴求をしやすくなります。
単純に写真を撮って投稿しているだけではペルソナから関心を寄せてもらえません。ペルソナから関心を寄せてもらうためには、そのペルソナにメリットとなる情報を発信していく必要があります。では、メリットとなる情報とは具体的にどういうものなのか。企業アカウントの場合、それは以下の3つに集約できます。
ペルソナに価値を感じてもらえる情報を発信することで、あなたへの関心度は高まります。この3つのうち、いずれかひとつに絞って情報発信してもいいですし、3つをミックスさせて情報を発信してもOKです。ペルソナにメリットのある情報発信を心がけましょう。
インスタグラムを活用する際は、KPIも忘れずに設定しましょう。KPIはゴールを達成するための要素でインスタグラムでは多くの場合、
が設定されます。
ここを指標化することで目的を果たすための要素の達成度合いがわかり、適切な運用ができているのかどうかを把握することができます。
また、施策改善に取り組むときにも役立ちます。KPIの設定は認知拡大や商品購入、集客の成功を導くうえで重要なポイントになります。インスタグラムを活用する際は必ず設定しましょう。
KPIまで設定したら実際に運用を始めていきますが、最初は土台であるアカウントの質を高め、育成していくことに重点を置きましょう。土台の完成度を高めることで、各施策の効果を最大化できるためです。
アカウントの完成度が低い(土台が弱い)と…各施策の効果が下がる
アカウントの完成度が高い(土台が強い)と…各施策の効果が上がる
アカウントの完成度はコンテンツがどれくらい充実しているかどうかで左右されます。つまり、
・フィード投稿やストーリーズ(ハイライト)、動画などのコンテンツが豊富である
・コンテンツはペルソナにとって価値(メリット)がある内容になっている
ということが完成度の高さにつながります。価値が低いコンテンツを大量に用意しても意味はありません。ペルソナにメリットのあるコンテンツづくりに取り組みましょう。
アカウントの認知拡大では
一般的にこの3つの施策を取り入れます。
しかし、施策によってはアカウントを育成する段階で、同時に対応することになります。たとえばハッシュタグについては、フィード投稿に設定できることから、アカウントの育成でコンテンツを発信していく際に上手に活用していきます。
一方で、インスタグラマーやインスタグラム広告は、アカウントの完成度が低い段階で活用しても、あまり効果を期待できない可能性があります。アカウントがコンテンツで満たされた状態で取り入れることがすすめられます。
インスタグラムにはハッシュタグ検索という機能があります。最近ではそうしたSNS上の検索機能を利用して、情報を収集するユーザーが増えています。そのためハッシュタグを上手に設定すれば、投稿、アカウントの閲覧数を大きく伸ばすことができます。
ハッシュタグを選定するときの基本は、投稿内容と合致したタグを選ぶことです。極端な例を言うと、帽子の写真を投稿したのに「#セーター」というハッシュタグをつけると、「#帽子」と検索したユーザーの意図とミスマッチとなります。
そうするとユーザーはあなたのアカウントに関心を寄せてくれないでしょう。最悪の場合、ネガティブな印象を抱いてしまうかもしれません。ハッシュタグは投稿内容と合致させることを意識しましょう。
インスタグラマーとは、インスタグラムにおいて高い影響力を持つ人たちのことを指します。大勢のファンがいるため、自社の商品やサービスの認知を広げたいときなどに高い効果を期待できます。
インスタグラムマーケティングでは、ユーザーとの関係性を高めることが大切ですが、インスタグラマーの活用はそれを成すうえで有効に働いてくれます。ハッシュタグと同様、上手に取り入れましょう。
ただしインスタグラマーを活用するときは、自社の商材と相性の良い人を探す必要があります。
インスタグラム広告は、フィード投稿やストーリーズ投稿の間に広告を表示させることができる機能で、フェイスブック広告と同様、ターゲティングの精度が非常に高いことで知られています。
活用すれば不特定多数のユーザーに自社アカウントの存在をアピールできます。通常投稿に加えて、インスタグラム広告を活用することで、効率的にアカウントの認知を広げられます。
フォローはそのアカウントに対して何かしらのメリットを感じているがゆえのアクションです。したがってフォロワーは、自社に対して興味関心を寄せてくれている状態で、密な交流によって、さらにその気持ちを上げることができます。結果、ゴール(購買や集客など)を達成しやすくなります。
フォロワーとの交流では
がよく取り入れられます。
情報発信が滞ると、どうしてもアカウントの存在を忘れられてしまいます。メリットを感じてもらえなくなり、フォローを外されてしまう可能性も上がります。定期的なコンテンツの配信は、そんなリスクを軽減し、フォロワーとの関係性を維持できることにつながります。
また、キャンペーンはフォロワーと良好な関係性を築く際に大きな効果を発揮してくれるものです。キャンペーンと言うと、主にプレゼントキャンペーンがイメージされますが、ユーザーに楽しんでもらうことを意識しつつ、良好な関係を築いていく際は、ユーザー参加型のキャンペーンがおすすめです。
たとえば、
1.商品・サービスに関するアンケートの実施
2.アンケート結果に基づいたユーザーの分析
3.分析結果を踏まえた商品・サービスの改善
このような企画は、フォロワーにブランドと一緒に商品・サービスを作り上げているという気持ちを抱かせ、最終的に購買・集客を促す働きを期待できます。
フォロワーと交流すると同時に商品やサービスの紹介も行ないましょう。商品やサービスを知ってもらえなければ、商品購入やサービス利用につなげることはできません。遠慮して宣伝しなければ、いつまで経ってもゴールを達成できないままです。
たしかに過度な宣伝はフォロワーから嫌われますが、少なすぎる宣伝も問題です。きちんとフォロワーと良好な関係を築けていると思えたら、積極的に宣伝していきましょう。
また、商品やサービスを宣伝する際はユーザーニーズを意識することが重要です。
たとえば、ショルダーバッグであればユーザーは
などのことを知りたいと想定できます。
ですが、
このような宣伝方法では、ユーザーはそのショルダーバッグを使っているイメージや、使うことで得られるベネフィットを感じることができず、購入まで至りにくくなる可能性があります。
上記のような写真を投稿してもいいですが、それと同時に
このようなコンテンツも発信するといいかもしれません。これはあくまで例なので、実際にユーザーが求める情報とは限りませんが、「ユーザーが購入を検討しているときに得たい情報は何か」を考え、それに応える情報を提供することで、購買意欲を高められることが期待できます。
ユーザーの購買意欲が高いまま目的の場所に移動してもらうために、ゴールまでの導線を明確にしましょう。各種投稿にショッピングタグを設置したり、プロフィールにウェブサイトのURLを設定したり。また、問い合わせがゴールの場合は、アクションボタンを設定します。
ポイントはユーザーに対して次の行動を明確に教え示すことです。起こすべき行動が明確であるとユーザーは迷いなく目的の場所に移動できます。購買、集客につなげやすくなります。
ここからはインスタグラムを上手に運用している企業アカウントの好事例を2つご紹介します。
参照:マンダリンブラザーズ
こちらの記事では、ほかにもいくつか企業アカウントの好事例をまとめています。ぜひ一度、目を通しておくことをおすすめします。
インスタグラムマーケティングで行なってしまいがちなのが、投稿が宣伝に偏ってしまうことです。企業としてはどうしても購買や集客につなげたいところですが、あまりに宣伝ばかりの投稿が目立つと、ユーザーから敬遠されてしまう可能性があります。
インスタグラムでは、自社とユーザーの関係性を高めることに重きを置くべきです。繰り返しになりますが、アカウントを運用していくときは、そのための投稿を心がけるようにしましょう。ユーザーにとって身近で魅力的だと思われるようなコンテンツを投稿していくことが、フォローやいいねという行動につながり、関係性を向上させてくれます。
近年、インスタグラムは幅広い層に利用されていますが、アプリの特性上、「Z世代」や「ミレニアム世代」の利用者が多い傾向にあります。そのためそれらの世代向けの商品・サービスを提供している場合、訴求できるユーザー層が増えることから、一定の成果を得やすくなります(もちろん、競合も増えますから成果が出るとは限りません)。
一方、「ジェネレーションY」「Z世代の親世代」「シニア世代」向けの商品・サービスを提供している場合、訴求できるユーザー層が限られてくることから、一定の成果は得られても、それが期待するほどのものではない可能性が出てきます。これは目標(成果の大小)によるので、一概に成果を感じられないというわけではありませんが、商材・サービスによってはこのような側面があることは、あらかじめ理解しておくことが大切です。
インスタグラムをマーケティングツールとして活用し、購買やの成果を出している企業は数多くあります。しかし相応の成果を出すためには、戦略的にアカウントを運用していかなければなりません。また、地道に運用を続けていくことも大切です。毎回ユーザーに興味・関心を持ってもらえる情報を発信していくことは容易ではありません。ただし、それを地道に続けていくことこそがインスタグラムマーケティングの成功を導く鍵となります。これらのことを踏まえたうえで、インスタグラムを活用していくとよいでしょう。
この記事の執筆者
Instagram運用ディレクター
鈴木
これまでに100社以上のInstagram運用を支援。企画力に定評があり、現在も指名される形で数十社のアカウント運用をサポート中。